相続における財産目録の作成
相続における財産目録とは一言でいうと、被相続人が所有していた全財産を一覧にまとめたものです。
財産目録は必ず作成しなければならない書類ではないため、書式に決まりはありません。しかしながら、相続財産の調査で明らかになった財産を種別ごとに分類し、概算評価額とともに一覧にしておくと様々な相続手続きに活用できます。
財産目録が活用される場面について、以下にてご紹介します。
財産目録が有効に活用される場面
相続財産が多い、相続人が多い相続での遺産分割協議
財産目録を作成することで被相続人の全財産が一目でわかるようになるため、遺産分割協議において相続人全員が全財産について即座に把握できるようになります。
もしも全財産が把握できていないまま遺産分割協議を行ってしまうと、後になって新たな財産が発覚した場合、そのたびに遺産分割協議を行わなければならず、手間も時間もかかります。
また、財産目録を作成したことで被相続人のマイナス財産が多いことが明らかになれば、相続人は相続放棄または限定承認を検討することができます。
一方、財産目録を作成しなかった場合は財産内容の把握に時間を要するため、相続放棄の期限である、相続発生日から3か月以内に家庭裁判所への申述が間に合わない可能性があります。
なお、相続放棄の手続きが期限内に行われなかった場合、自動的に単純承認したものとみなされ、マイナス財産もプラス財産もすべて相続することになるため注意が必要です。
相続した財産の名義変更
相続した財産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きにおいて、遺産分割協議書が必要となります。財産目録を作成しておくことにより、この名義変更手続きもスムーズに進めることができます。
相続税の申告が必要かどうかの判断
被相続人が所有していた財産を相続や遺贈等により取得し、課税価格が基礎控除額を超過している場合には相続税の申告・納付が必要となります。
財産目録を作成しておくことで財産総額が一目でわかるため、相続税の申告が必要かどうかもすぐに判断ができるようになります。